石綿使用車両、JR6社に650両 「飛散の恐れなし」

 アスベスト石綿)を断熱材として用いている鉄道車両が、JR旅客6社で約650両残っていることがわかった。いずれも国鉄時代の1970年代半ばまでに製造された車両。各社は「密閉された状態にあり、通常では飛散する恐れはない」としている。

 今も石綿を使用している車両数はJR東日本約250両、JR西日本約200両、JR九州161両、JR北海道21両、JR四国15両、JR東海2両。全保有車両の2%程度という。

 JR各社によると、不燃素材しか使えない鉄道車両では当時、石綿は素材として最適と考えられていたらしい。車体外板の内側に吹き付けられ、車内側は化粧板でふさがれているため、乗客が触れることはないという。70年代半ばまでに石綿の使用は中止され、ガラス繊維などに代替された。

 JR東日本は「88年からは凝固剤を吹き付けて、劣化しても飛散しない対策をとった。250両のうち約90両は今年度中に廃車にする予定だ」としている。

 JR各社によると、88年ごろから解体作業は専門業者に委託している。

 国鉄清算事業本部によると、国鉄時代に車両改造や車体解体の業務をしていた職員のうち、石綿が原因とみられる中皮腫(ちゅうひしゅ)で、死亡した5人と療養中の1人の計6人が労災認定されている。このほか、JR東日本長野総合車両センターで働き、中皮腫で死亡した男性が労災認定されている。

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アスベストの早期使用停止 18業界団体に要請へ
2005年07月20日12時48分 asahi.com