温州みかんで肝臓を元気に

【健康に効く食べ物】
 ビールにチューハイ…とついグイグイ飲んでしまう季節だが、酒飲みの男性は温州みかんを食べると肝臓にイイ−というユニークな研究が先ごろ発表された。温州みかんが本格的に市場に出回るのは、まだ先だが、100%ジュースやハウス栽培ものでも効果が期待できるという。(2005.08.03紙面掲載)

【ガンマGTPが下降】
 果樹研究所は、国立長寿医療研究センターなどとの共同研究で、6月、温州みかんを多く食べる人ほど、肝臓病や動脈硬化のリスクが低くなる可能性について発表した。果樹研究所カンキツ研究部の杉浦実・主任研究官(以下同)はいう。
 「温州みかんには抗酸化作用の強い植物色素(カロチノイド)の一種、ベータ・クリプトキサンチンがたっぷりと含まれており、温州みかんをたくさん食べるほど血液中の濃度が高くなる。この濃度が高いと、アルコール性肝炎や動脈硬化のリスクが低いことがわかりました」
 調査は、みかんの産地・静岡県三ケ日町(その後、浜松市に合併)の男女約900人(年齢30―70歳未満)を対象に、2003年4―5月に行われた。これは2013年度まで続く疫学調査の一環である。
 肝機能関連では、うち肝臓の病気がない男性266人(平均年齢約57歳)が対象だ。
 「第一に飲酒量が多いほど、アルコール性肝炎の指標になる血液中のガンマGTPが高いことが確かめられました」
 全く酒を飲まないグループ(54人)や、少ししか飲まない軽度飲酒グループ(101人)に対し、毎日ビール大ビン1本以上の酒(エタノール換算で25グラム以上)を飲む中・高度飲酒グループ(111人)では、ガンマGTPが2倍ほど高かったという。
 「しかし、毎日ビールなら大瓶1本以上の酒を飲んでいる人でも、血液中のベータ・クリプトキサンチンの濃度が高いグループでは、低いグループに比べてガンマGTPの値が低いことが明らかとなりました」

動脈硬化にも◎】
 みかんを食べる量が1週間に数個程度で、ベータ・クリプトキサンチンの濃度が低い場合、ガンマGTPの平均は58.9だった。ところが、それが高い濃度(同1日3―4個)では33と、ほぼその半分だった。これは非飲酒あるいは少量飲酒グループのガンマGTP値とほとんど変わらないレベルだ。
 男女876人を対象にした、動脈硬化のリスクについても同様の結果が出た。ベータ・クリプトキサンチンの濃度が高い人の動脈硬化のリスク人は、低い人の2分の1程度だった。
 「血液中のベータ・クリプトキサンチンとガンマGTP、また動脈硬化との関係が今回はじめてわかったが、より因果関係を明らかにするためには今後、追跡調査が必要になります」

【カンキツの王様】
 ベータ・クリプトキサンチンは、トマトやニンジンなど緑黄色野菜に多いベータ・カロチンなどと同様に抗酸化作用が強い。かつて同研究所(旧果樹試験場)では、京都府医大などとの共同研究で、抗酸化作用によるみかんのがん抑制効果を明らかにした。
 ベータ・クリプトキサンチンの含有量についても、同研究所で調べられている。
 「温州みかんはベータ・クリプトキサンチンの含有量がオレンジの約10倍あり、カンキツ類の中ではトップです」
 温州みかんが市場に出回るのは9月半ばから翌年2月ごろまでだ。
 「ベータ・クリプトキサンチンは摂取後、体内に1、2カ月程度は残っています」
 今回はシーズン中に食べたみかんに含まれ、体内に残っていたベータ・クリプトキサンチンとの関係を調べたことになる。

【ジュースでもOK】
 今年のみかんのシーズンはもう少し先だが、実は7月から9月半ばまでは温州みかんをハウス(温室)で育てた、ハウスみかんがスーパーなどで売られている。
 また、みかん果汁100%のジュースなら年中、手に入る。
 「シーズン中に新鮮なみかんをたくさん食べて、ベータ・クリプトキサンチンを体内にたくわえておくのが一番。せめて毎日1個は食べるようにしたい」
 もちろん、みかんだけにこだわらず、栄養バランスのとれた食生活を心がけよう。    

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コリンズ船長「全員がいい仕事をした」

 「おめでとう」「最高のフライトだった」――日本人宇宙飛行士の野口聡一さん(40)らが搭乗したスペースシャトルディスカバリーが現地時間9日午前5時11分(日本時間同日午後9時11分)、エドワーズ空軍基地に予定通り着陸すると、待ち構えていた報道陣から歓声と拍手が上がった。

 着陸後、アイリーン・コリンズ船長は、祝福する管制センターの管制官に「帰還できてうれしい。全員がいい仕事をした」と答えた。

 2時間後、野口さんが仲間と降りてきた。少し重そうな足取り。やがて機体の底の部分を仲間と点検し、談笑した。

 コリンズ船長は、機体底部の耐熱タイルを確認した後、声明を述べた。「すばらしい飛行だった。乗組員はみんな、機体のそばを歩いて回り、外見がどうなっているか確かめたくて仕方がなかった」

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2005.08.10
温州みかんで肝臓を元気に
夕刊フジ.com

野口さん乗せたシャトル、無事帰還

9日、米カリフォルニア州エドワーズ空軍基地に着陸したスペースシャトルディスカバリー=AP

野口聡一さんが乗ったディスカバリーが帰還し、テレビを見ながら拍手をして喜ぶ知人たち=9日午後9時11分、東京・丸の内のJAXA情報センターで

9日、米カリフォルニア州エドワーズ空軍基地に着陸したスペースシャトルディスカバリーNASAテレビから、AP

エドワーズ空軍基地の位置

 米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル飛行再開機ディスカバリーは、米太平洋時間9日午前5時11分(日本時間同日午後9時11分)、約2週間の飛行を終えて、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地に着陸した。先月26日の打ち上げ直後から、多数の機体の損傷が点検で見つかって帰還の安全が議論の的になるなど、緊迫した再開飛行だった。

 ディスカバリーは8日と9日の早朝に計4回、ケネディ宇宙センターへの着陸を検討したが天候が回復せずに断念。着陸先を同基地へ変更し、9日午前4時ごろに上空350キロの地球周回軌道から離脱した。音速の25倍の速度で大気圏(上空120キロ)に再突入し、グライダーのように滑空。太平洋方面から米西海岸の同基地に着陸した。 

 03年2月のコロンビア空中分解事故から約2年半ぶりに再開されたシャトル飛行は、ひとまず無事に終わった。

 日本人飛行士の野口聡一さん(40)やアイリーン・コリンズ船長(48)ら乗組員7人は、着陸から約2時間でディスカバリーから降り立ち、元気な様子を見せた。

 今回は機体の監視、点検体制が強化され、飛行中から、底部の耐熱タイルの破片脱落やタイル接合材のはみ出し、操縦席窓下の保護膜破損など、26カ所もの「傷」が見つかった。接合材のはみ出しは帰還時に機体の耐熱性を損なう恐れがあり、船外活動(宇宙遊泳)で補修する史上初の試みで乗り切った。窓下の断熱材の損傷は、緊急風洞実験で安全を確かめた。

 NASAは今後、ディスカバリーケネディ宇宙センターに移し、機体を詳しく点検する。宇宙で見つかった「傷」の原因を突き止めるとともに必要な補修を施し、次に飛行するアトランティスの緊急救援機として待機させる。

 ただ、先月26日の打ち上げ時に外部燃料タンクから断熱材の塊がはがれた問題を受け、次のアトランティスの打ち上げは凍結されている。NASAは9月中の打ち上げを目指して原因究明を急いでいるが、対策の確立には至っていない。「年内の飛行は難しい」との見方も出始めており、シャトルの復活にはなお時間がかかる恐れもある。

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コリンズ船長「全員がいい仕事をした」 シャトル帰還
2005年08月10日00時48分 asahi.com

イマドキの観光名所、靖国神社

 小泉首相が参拝するようになってから、靖国神社への参拝者、観光客が増えているという。特に今年は参拝の是非に焦点が当たり、ニュースなどでも連日のように取り上げられることもあって、一気に東京名所として脚光を浴びているようだ。
 通常ここが多くの人でにぎわうのは、お花見と毎年7月中旬に行われる「みたままつり」、そのほか初詣や、横綱も登場する奉納相撲の時など。最近は境内を歩いていると、「報道」のバッジなど付けた内外の取材クルーの姿をよく見かける。(2005.08.03紙面掲載)

 先だっての「みたままつり」を覗いてみたところ、境内の能舞台では奉納歌謡ショーが行われていて、その出演者がバタヤンこと田端義雄、三浦洸一に菅原都々子というラインナップで、「みなさん、まだご活躍でしたか…」と戦中派の健在ぶりに、ただただ驚くばかり。
 参道の中央にある、この神社を創建した大村益次郎の像の周囲には毎年盆踊りの舞台が組まれ、おばちゃんたちの踊りの熱演が繰り広げられるが、今年は、それが最高潮に達している隣りで、なぜか江戸神輿が担がれているという不思議なお祭り風景が展開していた。
 そのほか境内には、零式戦闘機や人間魚雷「回天」なども展示されている戦事博物館「遊就館」や、錦鯉の泳ぐ池もある日本庭園もあり、なかなかの奥行きの深さ。神社周辺には、名門女子高白百合学園や、小泉さんの盟友・山崎拓氏も住んでいる衆議院議員宿舎などもあって、ここはまさに東京山の手お屋敷町なのだった。
 小泉さんが首相になって、初めて靖国参拝したのが4年前の8月13日。次の年はフェイントをかけたのか、春の例大祭である4月21日、その次の年は1月14日、去年は1月1日の参拝だった。
 いずれも参拝の前触れはなく、周辺地域の人々は、上空を行き交う異常なまでの台数の報道各社のヘリコプターの飛行音で、「その日」が今日であることに気づく。それが明日にもやってきそうだという緊張感が、今時ここに人が集まってきている理由の一つなのだろう。

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野口さん乗せたシャトル、無事帰還 2週間の飛行終える
2005年08月09日23時25分 asahi.com

英週刊紙 靖国神社を批判/戦争責任 英国などに押しつけ

リンク: 英週刊紙 靖国神社を批判/戦争責任 英国などに押しつけ.

【ロンドン=西尾正哉】英国の有力週刊紙サンデー・タイムズ七月三十一日付は、靖国神社が日本の侵略戦争を正当化し、第二次世界大戦の戦争責任を英国などに押し付けようとしていると批判しました。 東京発のこの記事は、国際面の約半分を使っています。 記事は、靖国神社遊就館が明治以来日本が行った戦争について「熱狂的で反省のない見方」を示していると指摘。「戦時中の首相として連合国の手で死刑になった東条英機が他の十三人の戦争犯罪人とともにまつられている」と伝えました。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-08-02/2005080201_03_1.html

2005年8月 5日 (金) in 平和 | 固定リンク

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世界の変化に追いつくための解散総選挙

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★世界の変化に追いつくための解散総選挙
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 私が以前から感じていたことに「小泉首相の政治スタイルは、ブッシュ大統
領を真似た部分がある」というのがある。

 いったん戦略の方向性を決めたら、それがうまくいかなくなって周囲から批
判が相次いでも頑固に変えない、というのが両者の類似点の一つだ。また、人
々が「なぜこんな方針を採るのか」と疑問に思っても理由を明らかにしない、
もしくは本当の理由ではないと感じられる「別の説明」をし続ける点も似てい
る。

 たとえば小泉さんの靖国神社参拝は「個人の信仰」を表向きの理由としてい
るが、中国が日本との関係を強化したいと接近してくるたびに参拝を実施した
り意思表明したりしており、真の理由は日中関係を制御することであろう。

 ブッシュ大統領の場合、失敗が明白になっても「強制民主化」「先制攻撃」
といった政策を変えない頑固さがある。イラクが大失敗しているのに、この政
策を変えないのはなぜか、納得のいく説明もなされていない。

 日本の政治だけを見ている人は「小泉さんはもともと一匹狼の政治家で、誰
にも本心を言わずに奇抜な戦略を思いつくのは、彼の個性から来るものだ」と
いう説明をするかもしれない。だが日米関係の文脈をも重ねてみると、小泉が
ブッシュと同じ行動規範を採ることで、対米従属を国是としてきた日本が、激
動期に入ったアメリカに何とかついていこうとしたのではないかと感じられる。

 911からイラク戦争にかけて、ブッシュ政権が前代未聞の単独覇権主義
傾いていくのと同期するように、小泉政権も独断性を増し、国会での答弁もぶ
っきらぼうな、タカ派的な傾向を強めた。

▼ブッシュの自滅戦略と小泉の自爆解散

 ここ数日の、小泉首相郵政民営化法案を強硬に通そうとして衆議院が解散
総選挙になった経緯は、ブッシュと政治スタイルが似ていると改めて感じさせ
る状況になっている。

 ブッシュは、イラクが泥沼化しても「自分に味方しない者は敵とみなす」と
いう単独覇権主義を掲げ続けるという自滅的な戦略を採った結果、アメリカの
国際的威信は落ち、世界は多極化に向かっている。

 小泉さんは、郵政民営化法案に対して自民党内からも再考を促す声が高まっ
たにもかかわらず「法案に賛成しない者は敵とみなす」という強硬姿勢を続け
るという自滅的な戦略を採った結果、参院で否決され、国会を解散せざるを得
なくなった。反対派議員らはこの解散を「自爆テロ解散」と呼んでいるという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050808-00000103-jij-pol

 9月11日の衆議院選挙で自民党が圧勝しない限り、小泉政権の続投はない
が、その可能性は低い。民主党公明党と連立して政権をとるか、もしくは自
民党が勝っても僅差となる公算が大きく、小泉さんはその責任をとって首相を
降りることになりそうだ。

 アジア・タイムスには「政治的自殺をはかった小泉」というタイトルの英文
記事も出た。小泉さんが任期半ばで政権を失うのに対し、ブッシュは再選され
たという違いはあるものの、強硬姿勢を貫いて自滅した小泉さんのやり方は、
ブッシュとよく似ている。
http://www.atimes.com/atimes/Japan/GH09Dh01.html

▼国家戦略行き詰まりの末の解散総選挙

 小泉さんがブッシュを真似た頑固な強硬策を展開した結果、政権を失いつつ
あることには、もう一歩深い意味がある。日本は、もはや従来のような対米従
属一本槍の国家戦略を採ることが不可能になりつつあることを示している。

 ブッシュ政権の単独覇権主義は、わざわざ世界中に敵を増やす政策であり、
必然的に、アメリカが自滅的に世界から撤退する結果を招いている。日本がそ
うしたアメリカの戦略に追随することは、自らを苦況に追い込むものであり、
持続不能である。これは親米とか反米とかいう政治信条ではなく、それ以前の
問題である。

 アメリカはもともと世界を多極化するために自滅的な単独覇権主義を続けて
いるのではないかというのが従来からの私の見方でもあるが、この分析が正し
いとしたら、小泉さんの対米徹底従属は、アメリカの真意を見誤ったものであ
り、最初から失敗が運命づけられていたことになる。

 今回の解散総選挙は、直接の原因である郵政民営化の問題だけが原因ではな
い。小泉首相外交政策や、ブッシュを真似た政治スタイルが政界の内外から
反発を受け、ここ数年日本が展開してきた国家戦略ではうまくいかないことが
明らかになった末の解散である。日本の国家戦略を見直す必要がある時期に、
政権交代の可能性をはらんだ総選挙が行われる。

 小泉政権には対米従属という方針があり、単独覇権主義アメリカがいつか
中国を懲らしめてくれるという分析があったのだろうが、情勢分析では、日本
は間違っており、中国や韓国の方が正しかった。事態は逆に、米中関係が水面
下でどんどん緊密になる方向にある。

 日本は国連の安保理常任理事国になるため、ドイツなどと4カ国連合を作っ
ているが、中国は今年5月に日本との戦略対話の芽が消えた後、現状の日本が
常任理事国就任になることには反対している。そして、先日アメリカの国連大
使になったばかりのネオコンのジョン・ボルトンは、就任早々、中国側と話し
合い、日本など4カ国連合の常任理事国就任には反対することを米中で申し合
わせている。
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2005/08/05/2003266454

 中国の政権転覆を目論んでいたはずのボルトンが、中国と談合して日本の動
きを阻んでいる。小泉首相や外務省が希求してきた「中国を仮想敵とする日米
同盟」など、実はまぼろしにすぎなかったのである。

▼誰が政権をとっても国家戦略は転換される

 休会に入った6カ国協議でのアメリカの熱心さを見ると、日本人の多くが
(大嫌いだと思わされるような報道に接しているので)大嫌いな北朝鮮とも、
いずれ日本は国交を回復しなければならなくなると予測される。

 アメリカは賛同したが、北朝鮮の賛同が今一つ得られなかった中国案では、
アメリカと北朝鮮、日本と北朝鮮はそれぞれ国交を正常化することが盛り込ま
れている。アメリカが北朝鮮と国交を正常化したら、たとえ日本の全国民が北
朝鮮を嫌いでも、日本政府は北朝鮮と国交を正常化しなければならないだろう。
さもないと、日本はアメリカと反米諸国の両方から、のけ者にされかねない。
今回の6カ国協議では、日本はすでに半分のけ者にされていた。
http://tanakanews.com/f0728korea.htm

 こうした現状を見ると、対米従属のみを頼りにした小泉政権の戦略は明らか
に破綻している。その意味では、日本は良い時期に政権交代の時期を迎えるこ
とになる。小泉さんが、あえて無理に郵政民営化法案を国会に通そうとしたの
は、自らの国家戦略の失敗を認識し、法案が否決されて解散総選挙政権交代
につなげた方が、日本国のためになると判断したからかもしれない、などとい
う推測も私の頭の中に浮かんだ。

 日本の政界が無能でなければ、次に政権に就く人々は、自民党であれ民主党
であれ、中国や韓国、ロシアとの関係を強化し、首相の靖国参拝問題、東シナ
海油田問題、竹島問題、拉致問題北方領土問題などを解決の方向に持ってい
くよう、相手国と交渉すると予測される。アメリカとは引き続き「強い同盟関
係」であると表明されるだろうが、日本の外交は対米従属一本槍を少しずつ脱
し、多様化されていくと期待される。

 自民党の中枢には、安部晋三氏など、小泉さん以上に反中国(近隣国嫌い)
と目される人もおり、そのような人が次期首相になる可能性もある。しかし、
すでにこの路線は破綻していることが明確な以上、そうした人が首相になった
場合でも、上手に方向転換していくはずである。

 洋の東西を問わず、優れた政治家は現実主義者であり、非現実的に自らの信
条にこだわることはない。表向きは自らの信条にこだわり続けるふりをして、
実は現実主義的な対応をするのが、巧妙な政治家である。

 8月8日に解散総選挙が決まった後、為替相場円高ドル安となった。マス
コミでは「解散総選挙というマイナス要因を消化した後、円が買われた」と説
明されたが、これは陳腐な見方である。解散総選挙は、日本が政権交代によっ
て、アメリカ(ドル)の一極支配体制のみを信奉する戦略から、アジア共通通
貨など基軸通貨を多極化する動きに協力する戦略へと転換するのではないかと
いう期待を生み、それが円買いドル売りにつながったと見るべきである。

▼近隣国との「戦後」を終わらせる必要

 世界は多極化する傾向を強め、東アジアにおいてもアメリカの覇権の力が弱
まり、それと反比例して中国、ロシアなどの地域大国の力が増している。アメ
リカ一辺倒が不可能になる以上、日本は、中国、ロシア、韓国などの近隣諸国
と戦略的な関係を強化していくことが必要になっている。

 日本にとって、周辺国との関係を強化するには「戦後」を終わらせる必要が
ある。戦後、中国や韓国、北朝鮮などのアジア諸国は、反日感情民族主義
愛国主義の運動に転化し、それを使って国内を思想的に統一してきた。韓国が
竹島(独島)の領有権を主張したり、中国当局が旧満州の集団埋葬所を「日本
軍による虐殺の跡」と称し、学習用の見学対象に指定していることなどは、そ
の例である。

 これに対し日本政府は、中国や韓国などの反日的な愛国教育の存在を無視な
いし黙認し、いきすぎたプロパガンダ教育の是正を求めるということは一切行
わない暗黙の方針をずっと採っていた。日本にとって、過去の行為に関する反
論をしないことが、戦後の世界を生きるための処世術だったのだろう。「いさ
ぎよく罪を認めた人は弁解しないのが良い」という日本的な価値観に基づいた
方針である。日本側がこのような方針を採ってきた以上、中国や韓国の側が勝
手に日本の過去を誇張して非難するのは自然な動きだった。

 1970年代後半から、アメリカが日本の覇権再拡大を認める方向に動いた
後、首相の靖国神社参拝問題や、教科書問題、南京大虐殺問題などが出てきた
が、日本側では中国や韓国の誇張を逆非難する動きは少なかった。むしろ、左
翼が主流だった戦後日本の知識界では、中国のプロパガンダを積極的に信じる
人が多かった。

 日本政府の対応は、一昨年あたりから微妙に変わった。首相の靖国参拝、教
科書問題、竹島問題、尖閣諸島問題、東シナ海油田などに関し、日本側の主張
をしだいに明確に言うようになり、マスコミを使った扇動が目立ち始めた。拉
致問題を使い、マスコミに恫喝をかけるネオコン風の政治活動家も出現した。

(この日本政府の戦略は、中国や韓国が、世界の多極化に合わせた自分たちの
アメリカ抜きの東アジア共同体」に日本を参加させようとする動きを拒否す
るためのものだったと思われる)

▼「戦後問題」を終わらせるには順序が大事

 それまで黙っていた日本側が急に主張し始めたことに対し、中国や韓国の側
は「日本が反動的な傾向を強めた」と感じ、反日感情を強めた。日本のマスコ
ミでは、自国政府の微妙な戦略変更は報じられず、中国や韓国の側の反日運動
だけが報じられた結果、日本の一般国民は中国や韓国に対する反感を強めるこ
とになった。

 本来、日本側が中韓との戦後問題を解決したいと考えるなら、急に声高な主
張をするのではなく、政府間で望ましい両国関係について戦略対話を行い、中
韓政府にプロパガンダを収束させてもらう必要があった。第二次大戦の敵同士
だったドイツとロシアなどは、すでにその手の対話を行い「戦後」を終わらせ
ている。

 中国は今年5月にジャカルタで行われた小泉・胡錦涛会談を、この戦略対話
の皮切りとしたいと考えていたようだが、小泉さんは話に乗らず、失敗した。

 日本の世論の多くは「悪いのは偏見的な反日感情を持つ中国や韓国だ」と考
えているようだが、私はそうは思わない。悪いのは、こうした「戦後」の間違
った状態を解消するための順番を踏んだ国家間の対話をせず、むしろ戦後問題
を終わらせることを難しくする「正しいことを言って何が悪い」という風潮を
日本国内で作った小泉政権の方である。

 東アジア共同体への日本の協力を必要としている中国や韓国は、日本の政権
が代わったら、再び戦略対話を申し入れる動きをとるだろう。選挙で誰が勝っ
ても、日本の次政権はおそらくそれに乗るだろうから、今後は日本と近隣諸国
との関係は改善されていくと予測される。今回の解散総選挙は、日本が世界の
多極化の動きに追いつくための契機となるだろう、というのが私の見方である。

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2005年8月 5日 (金)

解散翻意迫る森氏、首相は耳貸さず

空いたビールとウーロン茶の缶を手に、報道陣の質問に答える森前首相=6日午後7時40分、首相公邸で

 「殺されてもいい。おれは総理大臣だ」。小泉首相は6日、衆院解散の翻意を迫る森前首相にそう、決意を語った。郵政民営化法案の参院本会議採決が8日に迫る。自民党内では、参院議員の造反の動きが6日も止まらず、喫水線を超える勢いだ。執行部は焦りを深め、公明党民主党は選挙準備に突き進む。法案否決―衆院解散で未曽有の総選挙に発展するのか。ぎりぎりの攻防が続く。

 首相は、解散回避を頼み込む森前首相に言い放った。

 「可決させてくれ。好んで解散するわけではない」

 6日夜、首相公邸。森氏にすれば、最後の談判だった。夕食をともにしながら時間をかけて語り合おうと思って足を運んだ森氏に、だが首相は缶ビール10本を自分で抱えて迎えた。さかなは、「これしかないんだよ」というひからびたチーズとサーモンだった。

 「外交だって山積みだ。予算もある、経済もある」。森氏は約1時間半にわたって解散を思いとどまるよう説得した。だが首相は一切耳を貸さない。

 森氏 解散回避に努力している人たちを苦しめて、何の意味があるんだ。

 首相 おれの信念だ。殺されてもいいんだ。

 「変人以上だよ」。森氏があきれ果てて言うと、それでも首相は「そうだ。それでいい」と突き放した。

 森氏は4日、福田康夫官房長官らを首相官邸に差し向け、継続審議を打診させた。賛否両陣営を問わず党内に解散回避論が高まったのを受け、何とか首相を翻意させようとしたのだ。だが、自ら出向いてのこの日の説得の失敗で、党内では一気に「打つ手なし」の空気が広がりかねない。

 「おれに対して、こんな対応ですよ。まあ、さじ投げたな。私に何をしろって言うの。解散阻止なんかできないでしょ」。会談終了後、森氏は記者団に出されたチーズのかけらやビールの缶を見せながら、「かむんだけど、固くてかめないんだよ」。記者団に怒りをぶちまけた。

 首相はこの日、広島市で記者団に「8日の結果をみて総合的に政治判断していきたい」と発言した。一部で解散回避の可能性を示唆したと伝えられると、首相秘書官が「首相がきちんと説明したいと言っている。もう一度郵政の質問をしてほしい」と記者団に頼んで来た。結局、「総合的判断して、否決・廃案は私に対する不信任である」と、従来の言い回しへと訂正した。

 首相の戦闘姿勢は変わらない。最近、会食した相手には、自民党の非主流派が解散権行使を阻んだ「三木おろし」の例を挙げ、「今の反対派の動きは、政策論争じゃなく政局だ。三木さんは解散できなかったけど、私は必ず解散する」。

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 だが、反対派の説得の先頭に立つ自民党執行部も有効な手立ては見いだせない。衆参幹事長は6日、地元へ戻った。

 武部勤幹事長は北海道稚内市で「立党50年になるのに、解党元年、分裂元年になったらジョークにもならない」。片山虎之助参院幹事長も岡山県真庭市で「連日連夜、むしゃくしゃするようなことばかり、東京で起こって」。愚痴とも焦りともつかない言葉が続いた。

 採決を5日から8日に延ばして最後の追い込みに入ろうとした矢先、参院亀井派中曽根弘文会長はじめ反対を明言する議員が相次いだ。あわてて参院国対は5日、「週末中に何としてでも反対派から3票を賛成にひっくり返せ」と命令を出したが、最後の焦点とみた参院堀内派も固められない。

 6日には、同派の田浦直参院議員が記者会見して「継続審議もできなくなった」ことを理由に反対の意思を表明。河野グループ浅野勝人参院議員もテレビ番組で「首相に冷静になってもらって政治休戦を」と呼びかけつつ、「棄権」を宣言した。執行部が「動きはピークを過ぎた」とみた全国特定郵便局長会も幹部は「ここで緩める手はない」。反対派を引き締めるよう指示を出した。

 可決の見通しがさらに厳しくなるなか、各党の視線は「採決」から「選挙」へと移る。公明党は6日、党本部で開いた幹部会で11人の小選挙区候補者を内定。「1年でやる準備を20日間でやらないといけない」と同党幹部は漏らす。民主党岡田代表は6日、神戸市での演説で「自民党が手をこまぬいて待っているとはとても思えない」としつつも、「解散があればいつでも受けて立つ」と言い切った。

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田中宇の国際ニュース解説 2005年8月10日 http://tanakanews.com/