野口さん乗せたシャトル、無事帰還

9日、米カリフォルニア州エドワーズ空軍基地に着陸したスペースシャトルディスカバリー=AP

野口聡一さんが乗ったディスカバリーが帰還し、テレビを見ながら拍手をして喜ぶ知人たち=9日午後9時11分、東京・丸の内のJAXA情報センターで

9日、米カリフォルニア州エドワーズ空軍基地に着陸したスペースシャトルディスカバリーNASAテレビから、AP

エドワーズ空軍基地の位置

 米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル飛行再開機ディスカバリーは、米太平洋時間9日午前5時11分(日本時間同日午後9時11分)、約2週間の飛行を終えて、カリフォルニア州エドワーズ空軍基地に着陸した。先月26日の打ち上げ直後から、多数の機体の損傷が点検で見つかって帰還の安全が議論の的になるなど、緊迫した再開飛行だった。

 ディスカバリーは8日と9日の早朝に計4回、ケネディ宇宙センターへの着陸を検討したが天候が回復せずに断念。着陸先を同基地へ変更し、9日午前4時ごろに上空350キロの地球周回軌道から離脱した。音速の25倍の速度で大気圏(上空120キロ)に再突入し、グライダーのように滑空。太平洋方面から米西海岸の同基地に着陸した。 

 03年2月のコロンビア空中分解事故から約2年半ぶりに再開されたシャトル飛行は、ひとまず無事に終わった。

 日本人飛行士の野口聡一さん(40)やアイリーン・コリンズ船長(48)ら乗組員7人は、着陸から約2時間でディスカバリーから降り立ち、元気な様子を見せた。

 今回は機体の監視、点検体制が強化され、飛行中から、底部の耐熱タイルの破片脱落やタイル接合材のはみ出し、操縦席窓下の保護膜破損など、26カ所もの「傷」が見つかった。接合材のはみ出しは帰還時に機体の耐熱性を損なう恐れがあり、船外活動(宇宙遊泳)で補修する史上初の試みで乗り切った。窓下の断熱材の損傷は、緊急風洞実験で安全を確かめた。

 NASAは今後、ディスカバリーケネディ宇宙センターに移し、機体を詳しく点検する。宇宙で見つかった「傷」の原因を突き止めるとともに必要な補修を施し、次に飛行するアトランティスの緊急救援機として待機させる。

 ただ、先月26日の打ち上げ時に外部燃料タンクから断熱材の塊がはがれた問題を受け、次のアトランティスの打ち上げは凍結されている。NASAは9月中の打ち上げを目指して原因究明を急いでいるが、対策の確立には至っていない。「年内の飛行は難しい」との見方も出始めており、シャトルの復活にはなお時間がかかる恐れもある。

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コリンズ船長「全員がいい仕事をした」 シャトル帰還
2005年08月10日00時48分 asahi.com