ニチアス子会社近隣で1人死亡 奈良・斑鳩

ギャラリー用:ニチアス王寺工場の周辺住民への説明会で会社側の考えを話す同社幹部ら=奈良県王寺町

 アスベスト石綿)による疾病で多くの従業員が死亡したニチアスの子会社「竜田工業」(奈良県斑鳩町)の近隣に住んでいた女性(当時86)が97年、石綿が原因とされるがん「中皮腫(ちゅうひしゅ)」で亡くなっていたことがわかった。竜田工業は17日に開いた住民向け説明会で、「住民被害の可能性は極めて低い」と説明していた。今後の調査しだいでは被害が広がる恐れも出てきた。

 女性の長男によると、女性が住んでいた一戸建て住宅の隣接地で43年、同社が操業を始めた。女性は97年7月、胸の痛みを訴えて中皮腫と診断され、同10月に亡くなった。医師から「石綿が原因かもしれない」と言われたが断定できず、死亡診断書には「原因不明」と記された。女性や家族が石綿関連の職業についたことはないという。

 女性の死亡直後、長男は同社に「石綿との関連を調べてほしい」と求めたが、「調査する」と言われたきり、連絡はなかったという。

 朝日新聞の取材に対し、同社の金野(かのう)啓治・管理課長は「当時の担当者が退社しており、詳しいことがわからない。状況把握に努め、対応を検討したい」と話した。

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アスベスト被害、鉄鋼5社で14人死亡 過去10年
2005年07月19日23時23分 asahi.com