原子力政策大綱案、原発依存強める方向性示す

 原子力の研究、開発および利用に関する長期計画(原子力長計)の改定作業を進めている原子力委員会の「新計画策定会議」が28日開かれ、新計画案をまとめた。政策の基本理念を示すことから、新計画を「原子力政策大綱」と名称変更する。核燃料サイクル方針を明記するとともに、国内の総発電電力量に対する原子力発電の比率を、現在の約30%から2030年以降は30〜40%かそれ以上を目指すとして、原子力への依存度上昇を盛り込んだ。

 大綱案は、核燃料サイクルについて安全性や経済性、技術、核不拡散、エネルギーの安定供給など10項目の視点から評価した経緯に触れ、使用済み核燃料は直接処分や全量貯蔵するのではなく、再処理して有効利用すべきだと結論づけ、現行の核燃料サイクル路線継続を掲げた。

 高速増殖炉の実用化については15年以降に検討し、経済性などの条件が整えば50年ごろからの導入を目指すとした。

 原子力発電については推進の姿勢を明確にした。エネルギー安定供給と地球温暖化への貢献を期待するとし、現行以上の電力供給割合を担うことが適切とした。その方策として、既存原発の活用と、30年以降に見込まれる代替炉は現行の軽水炉の改良型を採用していく方針も示した。定期検査の柔軟化や、老朽化に伴う保守・保全を適切に行い、長期運転の実現を期待する、とした。

 また、原発をめぐり相次いだ不正行為や重大な事故により、安全に対し国民の間に不安、不信があるとの認識を示し、信頼回復に向けた取り組みが必要だと言及した。

 同委員会は29日〜8月28日にホームページなどで一般からの意見を求める。青森、佐賀県など全国5カ所でも「意見を聞く会」を開いて最終案をまとめ、原子力委員会に報告する。