石綿建材、規制外の在庫品売却 厚労省、禁止決定

 がんなどを引き起こすアスベスト石綿)を含んだ製品の製造や売却などが禁止された昨年10月以降も、建材メーカーが規制対象外の在庫品を販売し続け、45万枚あったスレート板などの大半を売り切っていたことが25日、分かった。厚生労働省は同日、業界に対し行政指導で即刻売却を禁止にする方針を決めた。

 石綿を使った建材などは、労働安全衛生法施行令の改正で、昨年10月から新たに製造し販売することを禁止した。輸入や使用も禁じた。

 しかし在庫品は対象外だったため、厚労省は1年前から、業界団体に対し施行日までに在庫をなくすよう文書で要請していた。施行後も在庫売却が続いたため、今年6月、在庫の販売を補修用に限定し、来年3月で終了するよう改めて文書で要請した。

 石綿建材を製造していた大手「エーアンドエーマテリアル」(横浜市)など21社が加盟する「せんい強化セメント板協会」(東京)の在庫調査では、施行直前の昨年9月末でスレートやボードの在庫が14社で約44万6000枚あった。しかし今年6月には約3万枚になったという。

 同協会は「昨年の台風でスレートの注文が相次ぎ、在庫が大量に売れたため」と説明している。

 厚労省化学物質対策課は、石綿被害が問題になったため、在庫販売を即刻やめるよう業界団体に行政指導することを決めた。月内に政府がまとめる石綿対策に盛り込み、業界に通知する。

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