造船企業19社で死者85人 アスベスト被害

 アスベスト石綿)製品を使う造船会社の従業員らの健康被害について、国土交通省は21日、日本造船工業会など業界団体を通じて調査したところ、石綿が原因の病気による死者が19社で計85人に上ることを明らかにした。ほかに、療養中や疑いはあるが確認できない人が19人いる。同省は造船業界のほか、石綿を使った船舶で働いていた船員らの健康被害も、業界団体などを通じて調査を始めているという。

 造船業界ではかつて、船舶の製造や修理の過程で内壁に石綿を吹き付けたり、石綿を含む部品を加工したりしており、専門家から従業員らの深刻な健康被害が指摘されていた。

 同省によると、従業員や下請け労働者の死者のうちおもな疾患は、石綿に特有のがんの一種「中皮腫(ちゅうひしゅ)」が68人。肺がんなどの石綿関連の疾病が17人で、この数には石綿との因果関係がはっきりしないじん肺の数も含まれている。

 企業別にみると、最も多かったのは「アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド」(東京都港区、石川島播磨重工業の旧造船部門)が呉工場(広島県呉市)など3事業所で計19人。次いで、住友重機械工業(東京都品川区)が14人、三菱重工業(東京都港区)が4事業所で計13人など。

 工場周辺の住民や従業員の家族に関する健康被害の報告はなかった。

 すでに被害者を独自に公表している企業もあるが、車両部門や鋳造部門も含んでいたケースもあるため、同省では造船部門に絞って調べた。

 調査をまとめた同省造船課は「非常に被害者が多く、重大な結果と受け止めている。連絡のつかない人もいて、さらに被害者が増える可能性は否めない」としている。

 同省によると、02年7月1日以降に起工される船舶への石綿製品の使用は原則禁止された。現在登録されている日本籍船(主に20トン以上)は約9600隻で、このうち石綿の吹きつけが許されていた75年以前に造られた船は約800隻。石綿製品を部品などに使っているのは約8500隻だった。

2005/07/21(木) 22:46:34

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石綿肺患いスズキ従業員1人死亡
2005年07月21日23時20分