風邪の合併症に警戒せよ
2004.09.22
風邪の合併症に警戒せよ−鼻、のどに急性症状
【サラリーマンを襲う病気】
“風邪は万病のもと”といわれるように、ちょっと油断をすると思わぬ合併症を引き起こす。とくに風邪でダメージを受けるのが鼻とのど。季節の変り目は風邪をひきやすいので、鼻・のどの急性炎症の悪化にはくれぐれも注意が必要だ。(2004.09.15掲載)
●引き続き起こる蓄のう症
鼻からのどにかけての急性炎症を総称して上気道炎というが、これは風邪の別称でもある。しかし、鼻、咽頭、喉頭、副鼻腔、扁桃などの一部位が、さらに強くおかされ悪化すると、また別の合併症が起こる。
「とくに鼻へ引き続き現れやすいのは『急性副鼻腔炎』です」と、鼻・のどの合併症について説明するのは、東京厚生年金病院・耳鼻咽喉科の石井正則部長だ。
「鼻の奥には副鼻腔という空洞があり、風邪で免疫力が低下すると、そこの粘膜にインフルエンザ菌や肺炎球菌が感染して発症します。症状の特徴は鼻声になり、粘りのある黄色や緑色の膿のにおいがする鼻汁が大量に出る。また頭痛やほおの辺りに重い鈍痛が現れます」。
この病気にかかるとよく副鼻腔に膿がたまるので、一般的には急性の「蓄のう症」といったほうが分かりやすいだろう。気をつけたいのは、炎症を早期に抑えること。
「慢性化すると治りにくい。その防止のためにも早期の治療が必要」と警告する。
●緊急を要する合併症
のどに移行する合併症には、咽頭炎や扁桃周囲炎などがあるが、とくに怖いのは急速に悪化する『急性喉頭蓋炎』だ。
「この病気は小児の疾患とされてきたが、近年は成人に多く見られます。炎症個所は『喉頭蓋』という、食べ物が気管に入らないようにフタの役割を果たす部分。のどの奥にあるので咽頭炎などと違い、口を開けてのぞいただけでは腫れは分かりません」
我慢をしていると急激な気道狭窄を起こして窒息する恐れがあるという。のどが詰まった感じで、ふくみ声になり、ゼイゼイといったのどの息苦しさや痛みを感じたら病院へ−。
●「たかが風邪」が大敵
とにかく風邪をひかないための私生活での用心、引いても長引かせない心がけが合併症を防ぐ最も重要な点。石井部長は「“たかが風邪”という油断が一番の大敵。鼻詰まり気味な人、のどが弱い人、以前に合併症を経験している人など、自分の弱い部分を自覚することは大切です」と語る。
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