テロ容疑者か、警官が男射殺

 ロンドン南部の地下鉄ストックウェル駅で22日午前10時(日本時間午後6時)すぎ、男性1人を私服警察官が射殺したと、ロンドン警視庁が明らかにした。英メディアは、この男が前日のロンドンでの同時テロ事件の容疑者の1人だと報じている。英BBC放送によると、警察当局が監視カメラの調査結果に基づき尾行していたという。

 目撃者によると、地下鉄車内で警察官が男に向けて至近距離で計5発を発砲した。男は南アジア系とみられ、野球帽と季節はずれの厚手のコートを着ており、武器らしきものは手にしていなかったという。英スカイニュースは、捜査当局が男を自宅から尾行しており、当初は逮捕する予定だった、と報じた。

 同じころ、武装警察官がロンドン東部のモスクを一時包囲し、戸外に出ないよう付近の住民に警告した。住民の話では、モスク周辺に爆弾を仕掛けたとの脅迫電話があったというが、爆発物は確認されなかった。ロンドン西部のハローロードでも、武装警察官が家宅捜索に入った。捜査当局は容疑者を広範囲に捜索している模様だ。

 捜査筋によると、21日のテロ現場で押収された高性能爆弾の成分が、7日に50人あまりの犠牲者を出した同時爆破テロのものと類似していたという。BBCなどによると、今回の事件で見つかった爆発物は四つとも前回と同様、リュックサックに入っていた。

 警視庁は、容疑者らが起爆装置を作動させたものの爆発には至らなかった、との見方を強めている。

 今回、テロ発生当時には生物・化学兵器による攻撃や「クギ爆弾」との情報もあったが、22日夜現在、根拠を示すものはみつかっていない。